人類は、いまだに文字で情報伝達をしている。音声や映像や写真、3D表現の比重が増えてはきたが、やはり文字がないと暮らしは成り立たない。

おれひとりの一生では、われわれ人類の進化を感じることは難しい。たぶん、おれは死ぬまで文字を大事に使うんだろう。文字は美しい。それは間違いないのだが、文字に疲れることもある。

 カメラを抱えて散策していて、字の多さにウンザリする日がある。街中、どこにいっても借金の看板がある。建物の壁がとてもいい色なのに、どうしても文字が写りこむとシャッターを押すのをためらう。

 新宿まわりを歩いていた、そんな時。花畑の看板を見てジンときてしまった。どういう意図で、どんな人が掲げた看板なのか知らないが「きれいでしょ」以外の印象がなくて美しい。