自分の気分の扱い方をひとつ覚えた。ほとんどの人にとってはヘリクツかもしれない。でも、自分は楽になったし、もしかしたら役に立つ人がいるかもしれないから、書きたい。

 

どうしても気分の落ちこむ時ってのがある。この「落ちこむ」っていうのはよくできた表現で、本当にそんな気分になる。

どうやら、心には穴があくものらしい。人によって、穴の場所や深さがちがう。「穴のある場所の大切さ」「穴をどれだけ深いと感じるか」がちがう。

残念なことに、穴は絶対に埋まらない。経験的に、それが事実だ。そう書いてある本も多い。禅の本、脳科学の本、最近だと二村ヒトシさんと宮台真司さんの共著もそうだ。

 

自分の「落ちこんだ」気分を絵に描くと、地面にあいた深い穴の底で、うずくまっている。まっくらな穴の中で上を見上げ、届かない空を見て溜息をつく。

このイメージの何が絶望的か、と言うと、どこか「いつか穴が埋まって外に出られる」ことを期待しているからだ。地面に掘った穴のイメージは、土やゴミを放りこめば埋まるもんだ。

だけど、さっき書いたように「穴は絶対に埋まらない」。だから、穴を埋めようとする努力は徒労に終わり、疲れて穴の底で「落ちこむ」。

 

気分が落ちこみそうになったら、「心にあいた穴は、つつぬけなんだ」と思い出すといい。つつぬけの横穴をイメージする。この穴は絶対に埋まらない。片方から土を押し込んでも、もう片方からボトボト落ちてしまう。

穴があいていることには変わりはないんだけど、落ちこみようがない。風が通って寒い。でも、その寒さに順応するしかない。