好きなものについて書きたい。休日にフジテレビ「さんまのお笑い向上委員会」に再びハマった。毎週、録画して観てきたのだが、2周目を観だしたら止まらなかった。ずっと続けて観てしまうので、洗濯したら1話観る、掃除をしたら1話観る、とルールを決めなくては生活が成り立たないほど面白い。

 

何がそんなに面白いかというと、心理学の実験のようなゲーム性だ。

まず「フジテレビのバラエティ番組」「ひな壇でのエピソード・トーク」という設定がある。そこはテレビ文化の歴史が作り上げた「お笑い番組のルール」が支配する。

その設定、ルールあるいはムードに置かれた十数名の芸人さんがスタッフや関係者の笑いを稼ぐ為に動く。

堂々とした内輪ウケだけど、楽しそうな人を見ると楽しくなるのが人間の性質なのか、観ているほうも楽しい気分になる。

その動き、戦略、工夫、チームワーク、人間関係、心理が面白い。

 

笑いの調理方法がシンプルなのがいい。例えば、パターンを作って繰り返す、一発ギャグ、内輪ネタや楽屋オチ等。

「高度な」「綿密に練り上げた」「目新しい」という要素はないが、その分ルールがわかりやすい。ムードも明るい、優しい、おおらかだ。眉間に皺が寄らない。

 

台本が最小限で手探りでやっているのが「実験環境下の人間の活動の観察」のようで面白い。ある意味、動物番組にも近い。

例えば「パターンを作って繰り返す」調理方法で笑いを作っている時の、芸人さん各自の動きが面白い。

  • 画面の真ん中でパターンを繰り広げている当人たち。
  • それを囲んで追従したり、ガヤを足す仕事をする人たち。
  • ノリ遅れて棒立ちする人たち。
  • パターンができた瞬間には次の展開を考えて背を向けている人たち。
  • 笑いが足りない時にフォローにまわる人。

また、それぞれの表情がちがう。満面の笑みでやっている人、付き合いでやっている人、他事を考えてやっている人、目が尖っている人。

 

まるで「集団心理の発生」「コミュニケーションの取り方講座」を見ているようだ。

この番組のコンセプトは、実はamazonプライムでやっているドキュメンタルと共通する。(両者ともテロップが少ないのも心地よい)

笑いを綿密に練り上げるのではなく、とある状況下・ルールの下での人間の振る舞いを見せる。ある意味、動物番組的/実験室的な笑いだ。