こんなところに住みたいと思った。

広い、四角い部屋がある。家具はほとんどなく、棚とピアノ、あとは隅に寄せたテーブルと椅子。棚には少しのおもちゃ、本、それから昼寝用の座布団。

開口は広く、日が射しこむ。カーテンを開けると、庭と砂場が見える。ブランコも見える。

 少し美化しすぎか、とも思うが夢のような生活を思い浮かべる。朝、部屋で本を読んだりピアノを触ったりして過ごす。昼ごはんは簡単で少ないが、デザートもつく。座布団を引っぱり出して昼寝。午後は庭の遊具で体を動かす。砂の手触り、鉄分の味、トイレの臭い。おれが動くと鳴る地面、遊具。五感を動かすことに集中できる一日。

 大人の通える保育園、どこかにないですかね。キッザニアの大人バージョン。おっさん、おばさんが、知育に集中できるリゾート。そこには当然、好き嫌いや暴力や理不尽もあふれていて・・・

 と思ったのだが、それっておっさん、おばさんの日常生活そのままじゃん。保育園の生活にプラス、社会参加と経済活動というゲームを足したら大人の生活。

仕事の時間がある程度必要だから、それ以外の時間で、本を読んだり、ピアノを触ったり、デザートを食べたり、身体を動かしたり、五感を動かす時間を確保できたら天国の気がしてきた。